企画展「サイトスペシフィック・アート~民俗学者・宮本常一に学ぶ~」関連イベント
トークイベント「いま、宮本常一から学ぶこと~つくり手たちの視点から~」
この度、市原湖畔美術館では「サイトスぺシフィック・アート〜民俗学者・宮本常一に学ぶ〜」 関連イベントとして、トークイベント「いま、宮本常一から学ぶこと~つくり手たちの視点から~」を開催します。民俗学の分野で多大な功績を残した宮本常一の言葉や所作は、民俗学の分野にとどまらず、写真家や劇作家、小説家、音楽家、美術家などのクリエイティブな分野の人々にも強く影響を与えました。
本イベントでは、宮本常一を主人公とした戯曲を書いた劇作家・長田育恵さん(劇団てがみ座主宰)と、宮本の足跡を自らの足で追いかけた文筆家・木村哲也さん(『宮本常一を旅する』著者)をゲストにお招きします。宮本の活動に触発され、それを引き受けてそれぞれのやり方で次なる創造へと結びつけられたお2人に、つくり手/書き手の視点から現在に生きる宮本常一の魅力について、宮本常一関連部分監修の中村寛さん(多摩美術大学准教授/人間学工房代表)を進行にお話を伺います。
また、イベントの冒頭では、地域に内在するさまざまな価値をアートを媒介として掘り起こし、地域再生の道筋を築くことを目指す「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「いちはらアート×ミックス」などの総合ディレクターである北川フラム(市原湖畔美術館館長)が、「サイトスペシフィック・アートと宮本常一の結節点」というテーマで、自身の活動にも強く影響を与えたという宮本の活動を見直すことの意味についてお話しします。
クリエイティブな分野で活躍する方々の視点を通じて宮本常一の活動を知ることで、日々の生活の中にこれまでとは異なる視点や気づきが生まれるきっかけとなることを願っています。
日時:2020年1月11日(土)14:00~15:30
登壇者:長田育恵(劇作家、劇団「てがみ座」主宰)
木村哲也(『宮本常一を旅する』著者)
北川フラム(市原湖畔美術館館長)
進行:中村寛(本展 宮本常一関連部分監修者)
参加費:1,000円(要別途入館料)
定員:50名(先着順、事前申込制)
【登壇者】
長田育恵
劇作家。てがみ座主宰。日本劇作家協会戯曲セミナー研修課にて井上ひさし氏に師事。
2009年に「てがみ座」を旗揚げ、全公演の脚本を手掛ける。近年は外部公演脚本、映画・ドラマ等のシナリオも数多く手掛ける。2015年『地を渡る舟』にて文化庁芸術祭演劇部門新人賞。2016年『蜜柑とユウウツ』にて第19回鶴屋南北戯曲賞。2018年『海越えの花たち』・『砂塵のニケ』・『豊饒の海』にて第53回紀伊国屋演劇賞個人賞。
木村哲也
1971年生まれ。歴史学、民俗学者。周防大島文化交流センター(宮本常一記念館)学芸員をへて、現在、国立ハンセン病資料館学芸員。
宮本常一の再評価のほか、ハンセン病療養所の詩人たちの文芸活動や、地域の生活向上に役割を果たしてきた保健師活動など、日本近現代史のなかで忘れられてきたテーマを、資料探索と聞き書きを通して発掘することに取り組んでいる。
著書に『「忘れられた日本人」の舞台を旅する』(2006年)、『宮本常一を旅する』(2018年、いずれも河出書房新社)他がある。
北川フラム
撮影:山本マオ
1946年新潟県生まれ。ブームの下地をつくった「アントニオ・ガウディ展」、「子どものための版画展」、「アパルトヘイト否!国際美術展」、米軍基地跡地を文化の街に変えた「ファーレ立川アートプロジェクト」等をプロデュース。「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」、「瀬戸内国際芸術祭」等の総合ディレクターをつとめる。
【進行】
中村寛
多摩美術大学准教授。専門は文化人類学。「周縁」における暴力、社会的苦痛、差別や同化のメカニズム、反暴力の試みや芸術・文化運動、ソーシャル・デザインなどのテーマに取り組み、《人間学工房》を通じた文化運動もおこなっている。著書に、宮本常一の著作を手にニューヨーク・ハーレムで長期フィールドワークをおこない残した『残響のハーレム――ストリートに生きるムスリムたちの声』(共和国、2015)。編著に『芸術の授業――Behind Creativity』(弘文堂、2016年)。