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「いちはら青空新聞社~新聞記事やニュースを木版リトグラフで作品にしよう」アウトリーチレポート

レポート出張!市原湖畔美術館2026.03.13
市原湖畔美術館は改修工事に伴い2026年1月~4月下旬まで完全休館中。
その間も皆さんにアートを楽しんでもらうため、1~3月にかけて市原市北部の各所で全5回のアートにまつわるワークショップ(出張!市原湖畔美術館)を開催しています。
今回は第3弾として実施された松元悠さんによるワークショップの様子をスタッフがレポートします!

誕生日にはどんなことが起こったのだろう?出来事を人に伝える版画をつくろう

誕生日の新聞記事を使って、版画をつくるワークショップ。
参加者は架空の新聞社「いちはら青空新聞社」の記者として、かつて起こった出来事をリサーチし、自分の中のイメージを1枚の版画にしてみます。
事実として報じられた出来事に、自分の今の視点や思いを重ねるとどのような絵ができるでしょうか。

まずは講師・松元悠さんの活動を紹介!

新聞記事やニュースを題材にした版画を制作するほか、法廷画家としても活躍する松元悠さん。
ワークショップの冒頭では、普段の制作の進め方、アーティストとしてのこだわりや関心事、これまでの数々の活動をスライドショーで紹介してくれました。
プログラムのキーとなる「報道画家」についてのお話も。ニュースを版画にして多くの人に伝えていた彼らに思いを馳せてみます。

制作スタート!新聞記者になってリサーチします

見慣れない新聞を松元さんと一緒に解き明かします!

まずは誕生日の出来事が掲載された新聞をじっくり読んで、気になるキーワードを探してみます。
千葉日報の一面と地域面からは大きな事件だけでなく、地域に起こったほっこりする小さな出来事もみえてきます。
掲載された写真はあらかじめ隠し、言葉だけの情報から自分だけのイメージを膨らませていきます。さらに、いくつかのキーワードに関連させたり、自分の興味、関心事と重ねてみます。
じっくりリサーチしたあとは、下絵づくりへ。記事から得たイメージを1つの絵に構成していきます。図書館の資料も使ってイメージを具体的な形にしていきます。

いよいよ版画制作へ!木版リトグラフってなんだろう?

インクの付け方のレクチャーを受ける様子

木版リトグラフでは版を削ったり彫ったりはしません。なぜ彫らないのに絵にインクを付けることが出来るのでしょうか?それには①水と油が反発し合う性質と②水があるところで油同士が引き寄せ合って一つになろうとする性質が利用されています。
木の板にペンキやニスを塗ると、塗ったところは水を弾きます。木リトでは「水を弾くところ=油性インクが付くところ」になります。ペンキやニスの代わりにソリッドマーカーという油分の強いクレヨン状のマーカーを使って絵を描き、アラビアゴム(水溶性)の液を全体に塗ると版を作ることが出来ます。
アラビアゴムは描かなかったところにインクが付かないようにするためのもので、木地の細部に入り込み強い保水力を持つ膜を作ります。彫らないで版が作れるのはこのアラビアゴムの化学的作用があるからです。

版づくり

下絵を参考に木版に直接絵を描いていきます。使うのはソリッドマーカーと呼ばれるクレヨン状のマーカー。
注意点は版面を手で触らないこと。リトグラフは水と油の反発を利用して刷るため、手の油が版面につくと作用して黒い汚れになってしまう恐れがあります。
絵が完成したら、アラビヤゴムの溶液を塗ってドライヤーでしっかり乾かします。

プレス機を使って刷ってみよう

水を含ませたスポンジで余分なアラビヤゴム溶液を拭いたら、ローラーでインクを縦横と念入りにのばして付けます。
インクがまんべんなく付いたら、いよいよプレス機で刷っていきます。
ドキドキしながら刷った紙をめくると…版画の完成!
刷りに使用した紙は、松元さんをはじめ、大学の学生さんたちが制作で使用したもの。
作家と参加者がコラボレーションする作品ができあがりました。

世界に1枚の特別な版画が完成!!

出来上がった作品を持って、どんな出来事から着想を得たのか発表し合います。
みなさんとても誇らしげな様子!
それぞれの誕生日に起こった出来事が詰まった、大切な1枚が出来上がりました。

完成した作品の展示も開催!

2/25~3/3までの約1週間、市原市役所と市原中央図書館の2か所でワークショップの成果展「いちはら青空新聞社創立記念展」を開催しました。版画を制作した“記者”たちの作品と松元悠さんの作品を展示し、多くの方々にご覧いただきました。中には「この日の出来事、知っています!祖父が話していたことがあります!」というお声も。かつての地域の出来事がよみがえり、新たな繋がりを生み出す機会になりました。

ワークショップにご参加いただいた皆さま、展示にお越しいただいた皆さま、本当にありがとうございました!

基本情報

ワークショップ開催概要【イベント】松元悠「いちはら青空新聞社~新聞記事やニュースを木版リトグラフで作品にしよう!」
日時:2026年2月21日(土) 10:00-14:30
会場:市原市立中央図書館 〒290-0050 千葉県市原市更級5-1-51